医療コラム

Column

[症例]「2週間で何とかしてほしい」部分入れ歯の短期集中治療 40代女性|【まつうら歯科・こども歯科】あびこ駅徒歩3分|大阪市住吉区

[症例]「2週間で何とかしてほしい」部分入れ歯の短期集中治療 40代女性

「2週間で何とかしてほしい」部分入れ歯の短期集中治療|40代女性

「2週間で何とかしてほしい」部分入れ歯の短期集中治療|40代女性の症例

部分入れ歯の短期集中治療ビフォーアフター

 

「奥歯がないまま何年も放置している」

「入れ歯を作りたいけれど、仕事が忙しくて何度も歯医者に通えない」

「歯医者が怖くて、できることなら通院回数を最小限にしたい」。

部分入れ歯の製作というと、型を取って、噛み合わせを調整して、金具を合わせて・・・と、一般的には数ヶ月の通院期間を要するのが普通です。しかも今回のように抜歯を伴うケースでは、傷の治りを待つ期間も挟まるため、通常の通院ペースだと3ヶ月程度かかることも珍しくありません。しかし条件さえ整えば、通院回数を大幅に減らし、短期間で仕上げることも十分可能です。

今回は、実際に当院で行った部分入れ歯の短期集中治療の症例をもとに、治療の流れや設計の考え方、そして「誰にでも向いているわけではない」という現実的な注意点まで、お伝えします(短期集中治療の全体像を先に知りたい方は[大阪]部分入れ歯を最短2〜3日ですぐ作りたい方へ|部分入れ歯の短期集中治療もご覧ください)。

この記事でわかること

  • 抜歯を伴う部分入れ歯の短期集中治療を、実質2週間・通院5回で完成させた実例
  • 歯科恐怖症や持病(糖尿病)を抱える方が、無理なく治療を進めるための工夫
  • 短期集中治療のメリットと、誰にでも向いているわけではないという注意点
  • 費用の目安と、自由診療として知っておくべきリスク・副作用

まず全体像をつかんでいただくために、今回のケースの通院スケジュールを早見表にまとめました。

回数 主な内容 タイミング
1回目 歯周検査・歯石除去・内科への対診手配 初診
2回目 上下の抜歯(笑気ガス使用)・研究用の型取り 初診から数日後
3回目 抜糸・上下の精密な型取り一式 2回目から約1週間後
4回目 上顎の機能印象・上下咬合採得・前歯部の人工歯選定 3回目から数日後
5回目 奥歯の人工歯選定〜上下入れ歯の完成 合宿の数日前
(調整) 装着後の最終調整 合宿出発直前

初診から完成まで、実質2週間というスケジュールです。それぞれの回で何を行ったのか、次の章から詳しくご説明します。

Part1. 症例のご紹介

ご相談に来られた患者様の状況

今回ご紹介するのは、40代女性・Aさんのケースです。Aさんはフルタイムで働きながら小学生のお子さんを育てており、平日は仕事、休日は子どもの習い事の送迎でほとんど予定が埋まっている状態でした。歯科に通う時間を確保すること自体が、まず大きなハードルだったそうです。

ただ、Aさんの場合はそれ以上に大きな課題がありました。歯科恐怖症です。子どもの頃、虫歯治療で長時間口を開けさせられ続けて顎が痛くなった経験や、治療そのものの痛みがトラウマとして残っており、大人になってからも歯科医院を避け続けてきたとのことでした。

以前、神経を抜く治療(抜髄)を受けた際にも強い痛みを感じたそうで、「もう歯医者だけは絶対に嫌だ」という気持ちが根強くあったそうです。

初診のカウンセリングでは、正直なところ「いっそ全部抜いてしまいたい」というお言葉もありました。悪い歯を一本一本治療していくくらいなら、いっそすべて抜いて総入れ歯にしてしまった方が、通院回数も治療の痛みも少なく済むのではないか、というお気持ちだったようです。歯科恐怖症の方からは実際によく聞かれる相談内容で、決して珍しいことではありません。

口腔内を拝見すると、歯周病で動揺している歯が多く、噛み合わせのバランスも崩れており、食事にもストレスがある状態ではないかと推察されるほどでした(奥歯の欠損については奥歯の部分入れ歯|2本・3本ない場合の費用・種類・選び方を歯科医師が解説でも詳しく解説しています)。

さらに検査を進めると、上の歯については歯周病がより広範囲に進行しており、大部分の歯にぐらつきが見られ、保存が難しい状態でした。一方、下の歯は上に比べて状態が良く、残せる歯もまだ複数ありました。このため、上顎は総義歯(総入れ歯)、下顎は部分床義歯(部分入れ歯)という組み合わせで対応する方針となりました。

食事についても伺うと、奥歯で噛めない分、せんべいや硬い肉、りんごの丸かじりなどは自然と避けるようになり、気づけばおかゆやうどん、煮込み料理といった柔らかいものばかりを選ぶ食生活が定着していたそうです。ご本人いわく「子どもを優先しているうちに、自分の歯は後回しになってしまって」とのこと。多くの方に共通するパターンです。

さらに詳しくお話を伺うと、実はAさんが歯を失った背景には、虫歯だけでなく持病も関係していました。一昨年、糖尿病と診断されて以降、歯周病が急速に進行し、そこから一気に歯を失うことになったそうです。糖尿病は歯周病を悪化させる代表的な全身疾患のひとつで、免疫力の低下や血流の変化により、歯を支える骨が通常よりも早く吸収されてしまうことがあります。Aさんの場合も、診断からそう時間が経たないうちに、複数の歯がぐらつき始め、やむを得ず抜歯に至ったという経緯がありました。

実際に口腔内を確認すると、歯科恐怖症から長らく定期検診も受けられていなかったこともあり、想像以上に多くの歯石が沈着しており、歯ぐき全体にも炎症が見られる状態でした。歯周病が進行している方の多くに共通する所見ですが、この歯石と炎症をそのままにしておくと、入れ歯を作っても土台となる歯ぐきの状態が安定せず、装着後の痛みや不具合の原因になりかねません。

そしてAさんには、今回どうしても動かせない期限がありました。2週間後に、お子さんが所属する習い事の合宿が控えていたのです。初診のカウンセリングでも、「2週間後までになんとかしてほしい」というお言葉を、Aさんは何度も口にされていました。

これまでは前歯や奥歯がないことを誰にも気づかれないよう、人と話すときはさりげなくマスクをつけて口元を隠す、という工夫でやり過ごしてきたそうです。しかし合宿となると、ずっと他の保護者や子どもたちと一緒。さすがにマスクをつけっぱなしというわけにはいきません。「今まで歯医者から逃げ続けてきたけれど、さすがに今回ばかりは覚悟を決めるしかなかった」と、Aさんは当時を振り返っています。

歯を失った部分を放置すると、隣の歯が傾いたり、噛み合う相手の歯が伸びてきたりして、後々の治療の難易度がぐっと上がってしまいます。Aさんの場合も、まさにそのタイミングでの受診でした。

「全部抜いてほしい」というご希望にどう向き合ったか

Aさんの「全部抜いてしまいたい」というお気持ちは、決して非合理な発想ではありません。歯科恐怖症の方にとって、悪い歯だけを一本ずつ治療していくプロセスは、その都度恐怖と向き合わなければならず、むしろ精神的な負担が大きくなることもあります。総入れ歯にしてしまえば、少なくともその歯についてはもう治療の必要がなくなる、という考え方も理解できます。

ただし、今回のケースでは上と下とで歯の状態に差があり、下の歯については健全な歯がまだ複数残っており、抜歯の必要性は医学的には低い状態でした。健康な歯を抜くことは、将来的な骨の吸収や、残った歯への負担増加につながるため、できる限り避けたいというのが歯科医としての率直な考えです。上の歯については残念ながら歯周病の進行が広範囲に及んでおり、総義歯とせざるを得ない状態でしたが、少なくとも下の歯は「全部抜く」のではなく、活かせる部分は活かす方針としました。

そこで当院がご提案したのは、「本当に必要な範囲だけを短期集中で一気に治療し、通院回数と恐怖と向き合う回数そのものを最小限に抑える」という方向性でした。全部を抜くのではなく、失っている部分だけを部分入れ歯で補い、かつ治療自体を圧縮することで、Aさんの「回数を減らしたい」というご希望と「歯をできるだけ残したい」という医学的な最適解の両方を満たす形です。この提案に、Aさんも納得してくださいました。

なぜ短期集中治療を選んだのか

Aさんが短期集中治療を選んだ理由は、大きく2つありました。

一つ目は、何よりも「2週間後の合宿までに間に合わせなければならない」という、動かせない期限があったこと。そして二つ目は、仕事と育児の合間に取れる通院可能な日数が、もともと月に数日程度しかなかったことです。

短期集中治療は、保険診療の制約を受けない自費診療で行うので、1回あたりの治療の量を増やしたり、診療時間を長く確保できるのが最大の特徴です。通常の保険診療では1回30分程度の枠組みで進めますが、自費診療であれば1回の時間をかけてじっくり型取りや調整を行うことができるため、来院日数そのものを圧縮できます。

「怖い場所に何度も足を運ばなければならない」という精神的なハードルを下げられる点も、大きなメリットになります。当院では笑気ガス(吸入鎮静法)や静脈内鎮静法など、処置の内容や恐怖心の強さに応じて麻酔・鎮静方法を使い分けられる体制を整えており、今回もAさんのご希望を踏まえて笑気ガスを選択することで、痛みや恐怖を最小限に抑えながら治療を進めることができました。

Part2. 治療の詳細

治療計画の設計

短期集中治療を成功させる鍵は、初診時の情報収集と計画設計にほとんど集約されていると言っても過言ではありません。Aさんのケースでは、以下の手順で計画を組み立てました。

まず、レントゲン撮影と歯周病検査を行い、残せる歯と残せない歯を明確に見極めたうえで、義歯製作全体のスケジューリングを行います。ここで歯科技工士と綿密に打ち合わせを行うのですが、患者様が希望する義歯の完成日から逆算して、歯科医師と歯科技工士とで細かく日程を組み立てていきます。

実は、治療そのものよりもこの日程調整の作業が一番大変だったりします。抜歯の治癒期間、印象採得のタイミング、技工作業に必要な日数など、動かせない要素がいくつも絡み合うため、パズルのように組み合わせを詰めていく必要があるのです。技工所と密に連携できる体制がなければ、そもそも短期集中治療という選択肢自体が成り立ちません。

さらに、傾いてきていた隣接歯については、入れ歯の設計だけで対処するのか、あるいは事前に簡単な歯冠形成を行って土台を整えるのかを検討し、今回は入れ歯側のクラスプ(金具)設計を工夫することで対応する方針としました。

また、糖尿病による歯周病の進行で、複数本がぐらつきが強く、保存が難しい状態でした。抜歯の本数がまとまって必要になることが分かったため、外科的な侵襲も大きくなります。

糖尿病がある場合、血糖コントロールの状態によっては傷の治りが悪くなったり、感染のリスクが高まったりすることがあるため、当院からAさんの糖尿病の主治医宛てに対診状(治療の可否を確認するための照会)を作成し、抜歯を行っても問題ないかを確認することにしました。主治医からの返信をいただくまでに数日を要したため、抜歯は初診時ではなく2回目の診察で行う計画としました。

数日後、主治医から「抜歯OK」との返信をいただき、安全に処置を進められる状態であることを確認できました。抜歯についてどのように処置を進めるかをAさんと相談したところ、「眠ってしまうほどの麻酔ではなく、意識はあるままリラックスできる方法にしたい」というご希望があり、笑気ガス(吸入鎮静法)を使用することになりました。笑気ガスは鼻から軽い鎮静効果のあるガスを吸入する方法で、静脈内鎮静法に比べて回復が早く、処置後すぐに帰宅できるという特徴があります。今回は複数本の抜歯となりましたが、笑気ガスでのリラックス効果もあり、Aさんは落ち着いて処置を受けることができました。

実際の治療の流れ

Aさんの治療は、合宿までの2週間というタイトなスケジュールの中、完成までを通院5回に凝縮し、装着後の最終調整をもう1回別途行うという形で完結しました。技工所とは初診の段階から「2週間以内に完成させる」という前提でスケジュールを共有し、通常であれば1つの工程で1〜2週間かかる製作工程を最優先で対応してもらう体制を整えました。

1回目(本来はカウンセリングのみの予定でしたが…)

もともとこの日は入れ歯についてのカウンセリングのみを予定していました。しかし、お話を伺う中でAさんはすでに当院での治療をご希望されており、「できるだけ早く進めてほしい」という強いご意向をいただいたため、その場で治療をスタートすることにしました。

歯周検査を行い、口腔内全体の歯周病の進行度を確認したうえで、歯石除去(スケーリング)を実施。実際に処置を始めると、想像以上の量の歯石が沈着しており、歯ぐきにも炎症が広がっていたため、通常より時間をかけて丁寧に除去を進めました。あわせて、糖尿病の主治医宛てに内科への対診(抜歯の可否を確認するための照会)も同日に手配しました。

2回目(笑気麻酔下での上下抜歯・研究用模型印象)

主治医から「抜歯OK」の返信をいただいたことを確認したうえで、笑気ガス(吸入鎮静法)を使用し、上下あわせての抜歯を行いました。「眠ってしまうほどの麻酔ではなく、意識はあるままリラックスできる方法にしたい」というAさんのご希望に沿った選択です。あわせて、この後の個人トレー製作や治療計画に用いるため、上下の研究用模型印象(診断用の型取り)も採得しました。

3回目(抜糸・下顎の精密印象)

抜歯部位の治癒状態を確認し、問題がないことを確認したうえで抜糸(縫合した糸を取り除く処置)を行いました。あわせて、下顎については2回目で採得した研究用模型をもとにあらかじめ製作しておいた個人トレーを使用し、シリコン印象材で精密な型取りを行いました。下顎は部分床義歯となるため、残っている歯の形やクラスプ(金具)のかかり具合まで細かく再現できるよう、丁寧に型取りを進めました。この日は下顎のみの型取りにとどめ、上顎については次回にまとめて対応する計画としました。

4回目(上顎の機能印象・上下咬合採得・前歯部の人工歯選定)

上顎については、2回目の研究用模型をもとにあらかじめ製作しておいた咬合床付きの個人トレーを使用し、口を閉じた状態での筋肉や粘膜の動きを反映させる「閉口機能印象」という手法で精密な型取りを行いました。総義歯は歯がない分、吸着力や安定性が装着感を大きく左右するため、この機能印象の精度が仕上がりの良し悪しを決めると言っても過言ではありません。

続いて、上下の噛み合わせの高さや位置を記録する咬合採得を実施しました。そのうえで、前歯部の人工歯の形やサイズ(専門的には「トゥースフォーム」と呼ばれる、入れ歯に使う人工の歯の形・大きさの規格のことです)を、Aさんの顔立ちや口元のバランスを見ながら選定しました。前歯部は口元の印象を大きく左右する部分のため、この日はここまでで一区切りとし、奥歯部分の選定は次回にじっくり行う計画としました。

5回目(奥歯の人工歯選定・完成/合宿の数日前)

前回選定した前歯部のトゥースフォームとのバランスを見ながら、奥歯(臼歯部)の人工歯の形やサイズを選定しました。この日は院内に技工士が待機し、選定した人工歯を使ってその場で製作作業を進める体制を整えていたため、奥歯の人工歯選定から、ろう義歯の試適、加工・仕上げまで、朝から晩までの一日がかりで、上顎総義歯・下顎部分床義歯ともに完成させることができました。長時間に及ぶ処置となりましたが、鎮静法を用いず経過も安定していたため、大きな問題なく治療を終えることができました。

初診から完成まで、通院5回・実質2週間というスケジュールです。今回のケースでは抜歯を伴っていたため、短期集中治療でなければ傷の治癒期間や通常の通院ペースを考えると3ヶ月程度かかっていたと思われますが、期限に間に合わせる形で大幅に圧縮できました。

なお、この5回はあくまで「完成」までの回数です。装着後の微調整として、合宿出発前にもう1回別途ご来院いただきました。数日間実際に使っていただいたうえで、噛み合わせの当たり方や歯ぐきに擦れる箇所がないかを確認し、気になる部分をもう一段階調整。装着感が十分に安定していることを確認したうえで、Aさんはその足で合宿へと出発されました。入れ歯は完成後すぐに完璧にフィットするとは限らず、実際に使ってみて初めて分かる違和感もあるため、このような仕上げの調整回を別途設けることは短期集中治療においても欠かせない工程です。

治療後の経過

合宿から戻られた後の経過観察では、装着部位の粘膜に大きな炎症や傷はなく、義歯の適合も安定していることを確認できました。長年の歯科恐怖症については短期間で完全に解消するものではありませんが、通院回数を絞り、鎮静法を取り入れたことで、通院に対する心理的な負担は当初より軽減されていた様子がうかがえました。

合宿については、期間中に義歯を問題なく使用できたとの報告を受けています。マスクを外す機会が多い環境でも支障なく過ごせたとのことで、装着前に懸念されていた場面を大きなトラブルなく乗り切ることができました。

お仕事がお忙しい方だったこともあり、義歯を装着してから最初の調整にお越しいただけたのは約1ヶ月後になりました。この間、これまでほとんど摂れていなかった肉類についても、細かく刻んだものであれば咀嚼できる場面が増え、体重は2kgほど増加が見られました。これは今回のケースにおける経過の一例であり、咀嚼機能の改善度合いや体重の変化には個人差があります。

もちろん個人差はありますが、事前の計画がしっかりしていたことで、装着後の大きなトラブルはほとんどありませんでした。装着直後の数日間は多少の違和感を訴えられていましたが、これは短期集中治療に限らず、部分入れ歯全般に言えることで、新しい入れ歯に口腔内が馴染むまでには一定の期間が必要です。この点を治療前にしっかり説明しておくことも、患者様の満足度を左右する重要な要素だと感じています。

アフターフォローについて

約1ヶ月後の最初の調整では、下顎の入れ歯に少し痛みを感じる箇所があったため、その場で削って調整を行いました。あわせて、上顎の総義歯が最初の装着時に比べてやや緩んできているとのことで、「リライン」という処置も行っています。

リラインとは、義歯の内側(歯ぐきに触れる面)を、その時点での歯ぐきの形に合わせて作り直す調整のことです。今回のAさんのように抜歯した直後に義歯を製作するケースでは、抜歯した部位の歯ぐきの骨や粘膜の形が時間とともに少しずつ変化していくため、装着から数週間〜数ヶ月ほど経ったタイミングで、歯ぐきとの間にわずかな隙間が生じ、装着感が緩くなってくることがあります。抜歯を伴う短期集中治療では、このリラインをあらかじめ治療計画に組み込んでおくことが欠かせません。

なお、当院では装着後1年以内の修正やリラインについては、治療費に含まれる形でご案内しています。「短期集中で作って終わり」ではなく、その後もフィット感を保てるよう継続的にサポートしていく体制を整えていますので、装着後に違和感を覚えた際は遠慮なくご相談いただければと思います。

Part3. 検討する方へ

短期集中治療のメリットと注意点

ここまでの症例を踏まえて、短期集中治療のメリットと注意点を整理します。

メリットとしてまず挙げられるのは、通院回数の削減による時間的・精神的な負担の軽減です。仕事や育児で忙しい方、遠方から通う方にとって、これは非常に大きな価値があります。また、1回の診療時間を長く確保できるため、細部までこだわった調整がしやすいという利点もあります。

一方で、注意すべき点もいくつかあります。まず、症例によっては短期集中治療が適さないケースがあるということです。虫歯や歯周病が進行している場合は、先にそちらの治療を終えてからでなければ入れ歯の製作に入れません。また、自費診療となるため保険診療に比べて費用が高くなる傾向があります。そして何より、歯科医院側と技工所側の連携体制が整っていなければ、そもそも短期間での完成は不可能です。事前のカウンセリングで、自分のケースが短期集中治療に対応可能かどうかをしっかり確認することが欠かせません。

費用と期間の目安

部分入れ歯の短期集中治療にかかる費用は、使用する素材や欠損している歯の本数、抜歯の有無によって変動しますが、当院の料金の目安は以下の通りです。

メニュー 対象 費用(税別) 費用(税込)
即日義歯(1Dayデンチャー) 総義歯(上下顎) 225,000円 247,500円
短期集中治療 部分床義歯 250,000円 275,000円

「即日義歯(1Dayデンチャー)」は、総義歯(上下すべての歯を失った方向け)を対象に、来院当日中に義歯を仕上げるプランです。一方、部分床義歯の短期集中治療は、残っている歯を活かしながら部分的に補う分、設計や型取りの工程がやや複雑になるため、総義歯のプランよりも費用は高めに設定しています。

今回のAさんのケースのように、上顎は総義歯、下顎は部分床義歯という組み合わせになる場合は、それぞれのメニューを組み合わせた金額が目安となります。なお、静脈内鎮静法は自費診療のオプション扱いとなり、ご希望される場合は別途110,000円(税込121,000円)が必要です。

これらの費用には基本的な製作費用が含まれますが、抜歯や歯石除去など事前に必要な処置、装着後の調整については別途費用が発生する場合があります。正確な金額は口腔内の状態を診てからでなければお伝えできませんので、まずはカウンセリングでご相談いただくのが確実です。

自由診療に関するご注意(リスク・副作用について)

短期集中治療や即日義歯は、いずれも保険診療の範囲外である自由診療です。ご検討にあたっては、以下のリスクや副作用についてもご理解いただく必要があります。

  • 抜歯に伴うリスク:出血、腫れ、痛み、まれに神経損傷や感染が生じることがあります。糖尿病など全身疾患をお持ちの方は、傷の治りが遅くなったり感染リスクが高まったりする可能性があるため、事前に主治医と連携のうえで可否を判断します。
  • 笑気ガス・静脈内鎮静法のリスク:まれに気分不良、頭痛、悪心などが生じることがあります。静脈内鎮静法は、当日の車の運転を控えていただく必要があります。
  • 義歯装着後に一般的に起こり得ること:装着直後は違和感や発音のしにくさを感じることがあり、慣れるまでに個人差を伴う期間を要します。また、抜歯直後に義歯を製作した場合、歯ぐきの形が変化することで、数週間から数ヶ月後にリラインなどの調整が必要になることがあります。
  • 費用について:短期集中治療・即日義歯はいずれも自由診療のため、上記の料金表に加え、口腔内の状態によって追加費用が発生する場合があります。
  • 標準的な治療期間・回数:本記事で紹介した症例は、抜歯を伴う部分床義歯・総義歯の組み合わせで、通院5回・実質2週間というスケジュールでした。症例によって必要な検査・処置・通院回数は異なり、この期間・回数を保証するものではありません。

治療効果や経過には個人差があります。本記事で紹介した内容は、あくまで一つの症例に基づくものであり、同様の結果を保証するものではありません。ご自身の状態について詳しく知りたい方は、カウンセリングにて口腔内を確認のうえご説明いたします。

こんな方におすすめです

  • 仕事や育児で忙しく、通院できる日がまとまって取りにくい方
  • 遠方在住で、通院回数をできるだけ抑えたい方
  • 一時帰国中に入れ歯治療を済ませたい海外在住の方
  • 歯科恐怖症や過去のトラウマから、歯医者への通院そのものが苦手な方
  • 「いっそ全部抜いてしまいたい」と感じるほど治療に消極的になっている方
  • 旅行や合宿、結婚式など、マスクを外さざるを得ないイベントが数週間後に控えている方

逆に、虫歯や歯周病が重度に進行している方、口腔内の状態が複雑で複数の専門的な処置を並行して必要とする方は、まず全体の治療計画を立てるところから始める必要があります。

よくある質問

Q. 短期集中治療でも保険は使えますか?

多くの場合、短期集中治療は自費診療での対応となります。保険診療のルール上、1回の診療時間や使用できる材料に制限があるためです。

Q. 入れ歯が完成した後の調整は別料金ですか?

医院によって方針が異なりますが、当院では装着後一定期間内の微調整は治療費に含めています。事前に確認しておくと安心です。

Q. 抜歯してすぐに義歯を作ると、後で合わなくなったりしませんか?

抜歯した部位は、時間の経過とともに歯ぐきの形が少しずつ変化していくため、抜歯直後に製作した義歯はしばらく経つとフィット感が緩くなることがあります。これは「リライン」という、義歯の内側を現在の歯ぐきの形に合わせて調整する処置で対応可能です。今回ご紹介したAさんのケースでも、装着から約1ヶ月後の調整でリラインを行っています。当院では装着後1年以内の修正・リラインは治療費に含めていますので、違和感が出てきた際は遠慮なくご相談ください。

Q. 遠方からでも短期集中治療は可能ですか?

可能です。むしろ遠方在住の方こそ、このスタイルの治療との相性が良いと言えます。事前の電話を活用し、来院日程をあらかじめ絞り込んでおくとスムーズです。

Q. 歯医者が怖くて、痛みに耐えられる自信がありません。それでも受けられますか?

笑気ガス(吸入鎮静法)や静脈内鎮静法を活用することで、リラックスした状態、あるいはうとうとと眠ったような状態で治療を受けていただくことが可能です。今回ご紹介したAさんのように、強い歯科恐怖症をお持ちの方にこそ、短期集中治療と鎮静法の組み合わせは相性が良いと考えています。まずは恐怖心の背景も含めて、カウンセリングでじっくりお話をお聞かせください。

Q. 「歯を全部抜いて総入れ歯にしたい」と思っています。それでも相談していいですか?

もちろんです。実際にそう感じて来院される方は少なくありません。ただ、拝見してみると健全な歯が多く残っており、部分入れ歯で十分対応できるケースも多くあります。抜歯はあくまで最終手段としてご提案しますので、まずは現状の口腔内をしっかり確認させてください。

Q. 「2週間後までに」のように期限が決まっている場合、本当に間に合いますか?

口腔内の状態と欠損している歯の本数次第ですが、条件が揃えば2週間程度での完成も十分可能です。今回ご紹介したAさんのケースも、まさに合宿までの2週間という期限の中で完成させています。ただし技工所との連携やスケジュール調整が不可欠なため、期限が決まっている場合はできるだけ早くご相談いただくことをおすすめします。

Q. 糖尿病がありますが、短期集中治療を受けても大丈夫でしょうか?

糖尿病は歯周病を悪化させやすく、抜歯後の治りにも影響することがあるため、事前の確認が欠かせません。特に抜歯の本数が多くなる場合は、当院から主治医宛てに対診状(治療の可否を確認するための照会状)をお送りし、血糖コントロールの状態や抜歯の可否について返信をいただいたうえで処置を進めています。今回のAさんのケースでも、事前に主治医から「抜歯OK」の確認が取れたことで、安心して治療を進めることができました。持病がある方は、初診時の問診で必ずお伝えください。

Q. 麻酔や鎮静の方法は選べますか?

はい。処置の内容やご希望に応じて、通常の局所麻酔、笑気ガス(吸入鎮静法)、静脈内鎮静法などを使い分けています。短時間の処置で意識を保ったままリラックスしたい場合は笑気ガス、長時間の処置で恐怖心が強い場合は静脈内鎮静法など、それぞれの特徴を踏まえてご提案しますので、カウンセリングの際にご相談ください。

まとめ

部分入れ歯の短期集中治療は、「時間がない」「通院回数を減らしたい」という悩みに対応できる選択肢のひとつです。ただし、すべての症例に対応できるわけではなく、事前の精密な検査と計画設計があってこそ実現するものだという点は、ぜひ知っておいていただきたいポイントです。また、治療の経過や効果には個人差があり、本記事の症例と同じ結果になるとは限りません。

入れ歯を長年放置していると、隣接歯の傾きや噛み合わせのズレが進み、治療自体が難しくなっていきます。「そのうち」と先延ばしにする前に、一度ご自身の口腔内の状態を確認してみることをおすすめします。

同じ「部分入れ歯の短期集中治療」でも、症例によって設計や進め方はさまざまです。

あわせて

【症例】30代男性|送別会まで1週間 審美と安定を目指す|上顎部分入れ歯の短期集中治療

【症例】60代女性|話すだけで前歯が動く状態から、審美・機能を回復|上下部分入れ歯の短期集中治療

もご覧ください。

なお、以下のテーマについてもあわせてご覧いただくと、より具体的なイメージがつかめるかと思います。

ご自身のケースが短期集中治療に適しているかどうかは、口腔内を実際に拝見しなければ判断がつきません。まずは大阪で入れ歯の無料相談|まつうら歯科・こども歯科の入れ歯専門外来とはをご覧いただき、お気軽にカウンセリングにお越しください。

入れ歯無料相談のご案内|大阪入れ歯専門外来

「どの入れ歯が自分に合うのかわからない」

「10年、20年ぶりの歯医者で緊張する」

「今の入れ歯が痛い・噛めない・外れる」

そのようなお悩みがある方は、一度状態を確認させてください。

まつうら歯科・こども歯科では、歯科医師30分+歯科技工士30分、計60分の無料相談を行っています。歯科医師と歯科技工士の両方からご説明することで、お口の状態と医学的な視点、そして入れ歯の構造・設計・素材の特徴、両面からより分かりやすくお伝えできます。

無理に治療を進めることはありません。ご相談だけでも大丈夫です。他院で作った入れ歯のご相談も歓迎します。

大阪市住吉区・あびこ駅から徒歩3分。住吉区・東住吉区・阿倍野区・住之江区・堺市・松原市はもちろん、奈良・和歌山・神戸・京都など遠方からもご相談いただいております。

電話:06-6698-6480

またはWEB予約からお申し込みください。

入れ歯はこちらのバナーリンク画像

金属床LPのバナーリンク画像

入れ歯の作製・使用にともなう一般的なリスク・副作用

・内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
・入れ歯を固定するため、患者さまの同意を得てから残存歯を削ったり抜歯したりすることがあります。
・使用直後は、口腔内になじむまで時間がかかることがあります。
・事前に根管治療(神経の処置)や土台(コア)や被せ物(クラウン)の処置が必要となることがあります。
・入れ歯を装着していない時間が長いと、残存歯の傾きや損失、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収などが起こることがあります。
・咬合が変化したり、固定源である残存歯が削れたり抜けたりした場合は、入れ歯の調整・修理が必要になることがあります。
・金属を使用する入れ歯では、金属アレルギーを発症することがあります。・使用方法などにより、破損することがあります。
・シリコン義歯は数年に1度シリコンの張り替えが必要になります。
・定期的な検診・メンテナンスが必要です

この記事は、まつうら歯科・こども歯科(大阪市住吉区我孫子)の歯科医師が監修しています。個々の症状や治療の適否については、直接ご来院の上ご相談ください。

本症例は患者様の了解を得て、掲載しております。

write:2026.9.17

pagetop
pagetop