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[症例]何回も割れて、浮いてくる総入れ歯を精密入れ歯で治療|83歳女性|【まつうら歯科・こども歯科】あびこ駅徒歩3分|大阪市住吉区

[症例]何回も割れて、浮いてくる総入れ歯を精密入れ歯で治療|83歳女性

【症例】 何回も割れて、浮いてくる 総入れ歯を精密入れ歯で治療

何回も割れて、浮いてくる総入れ歯を精密入れ歯で治療した症例|83歳女性

「また欠けちゃった」。診療室に入ってこられたKさん(83歳)は、そう言ってバッグから割れた総入れ歯を取り出しました。過去5年間で作り直した回数は2回。それでも下の総入れ歯は、話している最中や食事の途中でふわっと浮き上がり、外れかけることが続いていたそうです。

「歳のせいだから仕方ない」。ご本人はそう思い込んでいましたが、実際にお口の中を拝見すると、原因は加齢そのものではなく、入れ歯の作り方にありました。今回は、BPS(バイオファンクショナル・プロステーティック・システム)という精密義歯の製作方法で、Kさんのお悩みがどう変わっていったのかをお伝えします。

来院時にお持ちいただいた旧義歯。何度も割れ、修理した跡があった

旧義歯 大阪で入れ歯が得意な歯医者

患者様プロフィール

項目 内容
仮名 Kさん
年齢・性別 83歳・女性
主訴 入れ歯が壊れやすい/下の入れ歯が食事や会話中に浮いてくる
既往歴 高血圧(内服コントロール良好)
これまでの経過 5年間で入れ歯の作り直し2回、修理は数えきれず
選択した治療 上下精密義歯(BPSシステムに準じた方法で作製)/上顎:チタン床義歯、下顎:チタン補強レジン床
通院期間 初診から完成まで約2ヶ月、通院6回

「もう歳だから」と諦めかけていた5年間

Kさんが最初に総入れ歯を作ったのは78歳のとき。最初の数ヶ月は問題なく使えていたものの、半年ほど経った頃から下の入れ歯が安定しなくなり、噛むたびにカタカタと音が鳴るようになったそうです。歯科医院で調整を重ねても改善せず、最終的には作り直しを提案されて新しい入れ歯に。しかし同じような不具合が数年おきに繰り返され、いつしか「硬いものは避ける」「人前で笑うのをためらう」という生活が当たり前になっていました。

ご家族に付き添われて当院にいらした際、Kさんが口にされたのは「もう長くないんだから、我慢すればいい」という言葉でした。しかし詳しくお話を伺ううちに、「本当はもっと固いものを食べたい」「入れ歯を気にせず友人とお食事したい」という本音がにじみ出てきました。この一言が、今回の治療方針を決める大きなきっかけになっています。

初診でわかったこと|「浮く」原因は顎の骨の吸収と型取りの精度不足

CT撮影と口腔内診査の結果、下顎の歯槽堤(歯を支えていた骨の土手)が加齢とともにかなり平坦になっていることが分かりました。下顎は上顎に比べて義歯が乗る面積が狭く、粘膜や舌・頬の動きの影響を受けやすいため、通常の型取りでは「静止しているときのお口の形」しか再現できません。その結果、実際に話したり噛んだりする動的な場面で入れ歯が浮いたり外れたりしやすくなります(型取りの精度と入れ歯の適合の関係については、入れ歯の型取りとは?合わない原因と精密印象でも詳しく解説しています)。

さらに、これまでの入れ歯は保険診療の範囲内で製作されていたため、噛み合わせの調整幅が少なく、部分的に強い力がかかることで破損を繰り返していたことも判明しました。入れ歯の厚みや強度の設計については入れ歯の厚みが気になる方へ|原因と薄くする方法を解説でも触れていますが、「壊れやすい」と「浮いてくる」という2つの主訴は、実は同じ根本原因(顎堤の吸収と型取り精度)から起きていたのです。

下顎の歯槽堤の高さが低くなっており、特に右側の歯槽堤が細くなっており、入れ歯が乗る面積が狭くなっていることが確認できた

下顎顎堤 入れ歯が得意な歯医者 まつうら歯科・こども歯科

通常の入れ歯と精密義歯、何が違うのか

比較項目 一般的な保険入れ歯 精密義歯
型取り回数 1回程度 複数回(個人トレー作製、筋圧形成、機能印象)
技工士の関与 完成後に確認する程度 技工士が立ち会い
噛み合わせの再現 静止時の位置が中心 咀嚼・会話時の動的な動きまで再現
素材 標準的な既製素材 摩耗・変色に強い高品質な人工歯・床材
向いている方 費用を抑えたい方、経過観察をしたい方 何度も作り直している方、インプラントが難しい方

BPSはスイス・イボクラール社が体系化した精密義歯の製作システムで、型取りを何度かに分けて行い、実際に話したり笑ったりする際のお口の動きまで計算に入れて設計する点が最大の特徴です。インプラントのような外科手術を伴わないため、持病があって手術に不安がある方にも選ばれています。BPS以外にも金属床義歯やシリコン義歯、3Dデジタル義歯など様々な選択肢があり、それぞれの違いは入れ歯の種類について徹底解説にまとめています。

今回使用した材料・技工システム

Kさんの精密義歯は、BPSシステムに準じた方法で以下の材料・機器を組み合わせて製作しました。上下で床の構造を変えているのが今回のポイントです。

項目 内容 ポイント
上顎の床 チタン床義歯 金属床にすることで破折リスクを大幅に軽減。薄く軽量になり、上顎全体を覆う違和感や熱の伝わりにくさも軽減
下顎の床 チタン補強レジン床 下顎は面積が狭く力が集中しやすいため、レジン床にチタンで補強を入れることで金属床に近い強度を確保し、破折リスクを軽減
人工歯 フォナレス(Phonares) イボクラール社製の高機能人工歯。自然な発音のしやすさと摩耗への強さを両立
レジン(床材) イボベース(IvoBase) 気泡や収縮の少ない重合方式のレジンで、粘膜への適合精度を高く保てる
咬合器 ストラトス(Stratos) 顎の動きを再現する精密咬合器。噛み合わせのズレを技工所の模型上で細かく調整できる

「壊れやすい」という主訴に対しては、上顎をチタン床、下顎をチタン補強レジン床にすることで金属床ならではの破折リスクを大幅に軽減し、「浮いてくる」という主訴に対しては筋圧形成印象と咬合器での精密な噛み合わせ調整で対応した、というのが今回の設計の考え方です。単に「精密義歯にする」だけでなく、上下で異なる構造を選んでいる点が、通常の総入れ歯の作り直しとの大きな違いです。

治療の流れ|初診から完成まで2ヶ月、6回の通院でできること

BPSに準じた精密義歯は、通常の入れ歯よりも工程数が多いのが特徴です。ここではKさんの実際の製作過程を、通院回数ごとに詳しく紹介します。

①精密検査・概形印象、噛み合わせ採得(1回目)

CT撮影、噛み合わせの状態、粘膜や顎の動きを確認し、これまでの入れ歯の問題点を洗い出しました。あわせて「何を食べたいか」「困っている場面はいつか」をヒアリングし、ゴールを共有します。

②閉口機能印象、噛み合わせ採得(2回目)

口の形に合わせて作られる咬合床付きトレーと閉口機能印象。既製トレーとの違いが精度を左右する

BPSの核となる工程です。頬・舌・唇を実際に動かしながら、機能時のお口の形を型に反映させていきます。「いー」と発音したり、飲み込む動作をしたりしながら、静止時では分からない動的な情報を採得します。口を動かした状態での型取りにより、話す・食べる動作に対応した形状を再現する精密な型取りのステップは噛める入れ歯|被圧変位量と精密な型取りでも解説しています。

③前歯部人工歯配列・仮合わせ(1回目)、噛み合わせ採得(3回目)

技工所で並べた前歯部の人工歯を実際にお口の中で仮合わせし、歯の見え方や口元のバランス、発音のしやすさを確認します。この段階で歯の色・形・並び方の希望をすり合わせ、あわせて噛み合わせのズレがないかを再確認します。

④前歯部人工歯配列(2回目)・臼歯部人工歯配列、仮合わせ(2回目)

前歯部を微調整したうえで、奥歯(臼歯部)の人工歯も配列。上下の顎の位置関係、噛み合わせの高さを技工士立ち会いのもとで記録し、しっかり噛める高さと、自然に見える高さの両立を図ります。

すべての人工歯を並べ終えた「ろう義歯」の状態で試着し、噛み合わせ・発音・見た目のバランスを最終確認します。この段階であれば歯の色や形、並びを調整することもまだ可能です。

ろう義歯の状態で試適し、微調整を重ねてから最終重合に進む

⑤完成・装着(6回目)

最終的な素材で重合・仕上げを行い、実際に装着。噛み方や発音の練習も含めて丁寧に説明しました。

完成した精密義歯。厚みや形状が緻密に計算されている

精密入れ歯 精密入れ歯専門外来

治療期間中、Kさんからは「型取りが今までと全然違う」という感想がありました。何度も口を動かしながら型を採るため、最初は戸惑われていたようですが、「これだけ丁寧にやってくれるなら安心できる」と徐々に前向きになっていかれたのが印象的でした。

装着後の変化|「もう一度、味噌汁の具を選べるようになった」

完成した入れ歯を装着してから1ヶ月後の定期検診で、Kさんはこうおっしゃっていました。「今までは柔らかく煮た野菜しか食べられなかったけど、今はれんこんもごぼうも噛めるようになった」。ご家族からも「食事の時間が長くなった」「人前でよく笑うようになった」という変化を伺っています。

左が使用していた旧義歯、右が今回完成した精密義歯。厚みと適合の精度が大きく異なる

左が5年間使用していた旧義歯、右が今回完成した精密義歯。厚みと適合の精度が大きく異なる

義歯そのものの安定性が増したことで、噛む力を怖がらずに使えるようになり、結果として食事の幅が広がったケースです。年齢を重ねてからこそ、毎日の食事の満足度がQOL(生活の質)に直結するということを、あらためて実感させられた症例でした。

今回の治療にかかった費用

BPSに準じた精密義歯は自由診療(保険適用外)となります。Kさんのケースでは、上顎チタン床義歯・下顎チタン補強レジン床の上下精密義歯一式で、1,001,000円(税込)でした。

保険診療の総入れ歯と比べると費用は大きくなりますが、型取りの精度・使用する人工歯やレジンの品質・床の強度設計など、これまでご紹介してきた工程すべてが費用に含まれています。費用はお口の状態や選ぶ床の素材(チタン床・コバルトクロム床イボベース床など)によって変動しますので、まずは無料相談で見積もりを確認いただくことをおすすめします。

[記事]保険と自費(精密入れ歯]はどこで差がつくのか

80代の方が入れ歯選びで後悔しないための3つの視点

  • 「歳のせい」で片付けない:入れ歯が合わない原因は加齢だけでなく、型取りの精度や設計にあることが少なくありません。
  • 修理・作り直しの回数が多いなら製作方法を見直す:同じ工程で何度も作ると同じ不具合を繰り返しやすくなります。
  • 家族と一緒に相談する:ご本人が「もう歳だから」と我慢しがちな場面こそ、ご家族が背中を押すことが治療のきっかけになります。

よくある質問

Q. 精密義歯は保険が使えますか?費用はどれくらいですか?

精密義歯は自由診療となることが一般的です。今回のKさんのケースでの費用は、記事後半の「今回の治療にかかった費用」でご紹介しています。医院やお口の状態によって費用体系が異なるため、事前の見積もりをおすすめします。

Q. 治療にかかる期間はどれくらいですか?

今回のケースでは初診から完成まで約2ヶ月、通院6回でした。お口の状態によって前後することがあります。

Q. インプラントとどちらが良いですか?

持病や骨の状態、手術への不安の有無によって適性が異なります。手術を避けたい方には、BPS以外にもシリコン入れ歯(コンフォートデンチャー)3Dプリント義歯REVAといった選択肢もありますので、まずは複数の選択肢を含めて相談されることをおすすめします。

まとめ

入れ歯が「壊れやすい」「浮いてくる」という悩みは、多くの場合、加齢そのものではなく型取りや設計の精度に原因があります。80代だからと諦める前に、精密な検査と製作工程を経たBPS義歯という選択肢があることを知っていただければ幸いです。年齢を重ねたからこそ、美味しく食べる喜びをもう一度取り戻していただきたいと思います。完成後も入れ歯洗浄剤について徹底解説入れ歯ケースの選び方と正しい使い方を参考に、日々のお手入れも大切にしてください。

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無理に治療を進めることはありません。ご相談だけでも大丈夫です。他院で作った入れ歯のご相談も歓迎します。

大阪市住吉区・あびこ駅から徒歩3分。住吉区・東住吉区・阿倍野区・住之江区・堺市・松原市はもちろん、奈良・和歌山・神戸・京都など遠方からもご相談いただいております。

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入れ歯の作製・使用にともなう一般的なリスク・副作用

・内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
・入れ歯を固定するため、患者さまの同意を得てから残存歯を削ったり抜歯したりすることがあります。
・使用直後は、口腔内になじむまで時間がかかることがあります。
・事前に根管治療(神経の処置)や土台(コア)や被せ物(クラウン)の処置が必要となることがあります。
・入れ歯を装着していない時間が長いと、残存歯の傾きや損失、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収などが起こることがあります。
・咬合が変化したり、固定源である残存歯が削れたり抜けたりした場合は、入れ歯の調整・修理が必要になることがあります。
・金属を使用する入れ歯では、金属アレルギーを発症することがあります。・使用方法などにより、破損することがあります。
・シリコン義歯は数年に1度シリコンの張り替えが必要になります。
・定期的な検診・メンテナンスが必要です

この記事は、まつうら歯科・こども歯科(大阪市住吉区我孫子)の歯科医師が監修しています。個々の症状や治療の適否については、直接ご来院の上ご相談ください。

本症例は患者様の了解を得て、掲載しております。

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