
入れ歯が2年で5回壊れた66歳女性が、チタン床義歯で「焼肉でも食べれる」と言うまで

「また割れました」
まつうら歯科・こども歯科の受付で、この言葉を聞くたびに、私たちは少し胸が痛くなります。今回ご紹介する66歳の女性患者様も、まさにそう言ってご来院された一人でした。
初めてお会いしたとき、彼女はすでに疲れていました。入れ歯を作っては壊れ、また作り直しては壊れる。この2〜3年で、なんと5回も同じことを繰り返していたそうです。別の歯科医院でも相談したけれど、結局また壊れてしまう。「もう入れ歯なんて信用できない」という言葉が、初診のカウンセリングでぽつりとこぼれたのを覚えています。
「見た目はどうでもいい、とにかく壊れない入れ歯がほしい」
初診でお話を伺ったとき、彼女の希望はとてもシンプルでした。
「見た目は気にしません。ただ、しっかり噛める入れ歯がほしいんです。壊れない、強い入れ歯を作ってください」
普通、入れ歯の相談というと「白くきれいな歯にしたい」「入れ歯だとバレたくない」という審美面の要望が多いものです。ですが彼女の場合は真逆でした。見た目よりも、とにかく「壊れないこと」「しっかり噛めること」。この2つを最優先にしてほしいという、迷いのないご希望でした。
なぜここまで壊れやすかったのか。お口の中を拝見してすぐに理由がわかりました。彼女は噛む力がとても強い方だったのです。噛み合わせに合わせた入れ歯治療自体は本来悪いことではありません。しっかり噛める証拠でもあります。実際、当院では何度も割れて浮いてくる総入れ歯にお悩みだった83歳女性の症例もご紹介していますが、噛む力が強い方ほど、素材選びが結果を大きく左右します。ただし、一般的な保険診療のレジン(プラスチック)の入れ歯にとっては、この強い噛む力が大きな負担になります。プラスチックは軽くて調整しやすい反面、強い力が集中的にかかり続けると、どうしてもひびが入ったり割れたりしやすいのです。
しかも彼女の場合、割れた場所を修理してもまた同じ場所、あるいは別の場所が割れるということを繰り返していました。これは、土台の強度そのものが噛む力に負けてしまっているサインでした。原因がわかっても、同じ設計の入れ歯を作り直す限り、また同じことが起きてしまいます。
チタン床義歯という選択肢


そこで私たちがご提案したのが、チタン床義歯でした(保険診療と自費診療で入れ歯の製作期間・工程がどう違うか、こちらの記事でも詳しく解説しています)。
チタン床義歯とは、入れ歯の土台(床)の部分を、プラスチックではなくチタンという金属で作る入れ歯です。チタンは航空機やインプラントにも使われる素材で、軽いのに非常に丈夫という特徴があります。同じ厚みで比べると、プラスチックよりもはるかに強度が高く、しかも金属特有の重さを感じさせません。むしろプラスチック床よりも薄く仕上げられるため、装着したときの違和感はかえって少なくなることが多いのです。
「強度を最優先にしてほしい」という彼女のご希望に対して、これほど適した選択肢はないと考えました。なお、金属を使う治療では金属アレルギーの有無も事前に確認しておくべき大切なポイントです。
さらに今回は、噛む力が集中しやすい奥歯(大臼歯)の部分にも工夫を加えました。通常、人工歯には見た目が自然な白い硬質レジン歯を使うことが多いのですが、彼女の場合は審美性よりも耐久性を優先されていたため、大臼歯には耐久性に優れた金属人工歯を採用しました。噛む力がもっともかかる場所にこそ、もっとも壊れにくい素材を使う。これが今回の設計の核心です。
土台はチタン、力がかかる奥歯は金属人工歯。「壊れないこと」を突き詰めた結果たどり着いた組み合わせでした。
治療の流れと費用
治療は上下チタン床義歯で、期間は約3ヶ月、通院回数は10回。費用は上下合わせて902,000円(自由診療)でした。
決して安い金額ではありません。実際、ご提案の際には金額についてもしっかりご説明し、ご納得いただいたうえで治療を進めています。ただ、2〜3年で5回も入れ歯を作り直してきた経緯を考えると、修理費用や再製作費用、その都度の通院の負担、何より「また壊れるかもしれない」という不安を抱えながら食事をする日々のことを思うと、長期的に安心して使える一台に投資する価値は十分にあるとお話しさせていただきました。
型取り、噛み合わせの調整、試適を重ねながら、彼女の強い噛む力にしっかり耐えられるよう、細部まで調整を重ねていきました。
「焼肉でも何でも食べれるわ」


治療が終わり、初めての定期検診にいらしたときのことです。診療台に座るなり、彼女は開口一番こう言いました。
「先生、焼肉でも何でも食べれるわ。ありがとう」
このひと言は、今でもはっきり覚えています。何年もかけて何度も壊れる入れ歯に悩まされ続けてきた方が、当たり前のように「焼肉が食べられる」と話してくださる。私たち歯科医療に携わる者にとって、これ以上の喜びはありません。
4年経った今も、トラブルはゼロ
そして2026年現在、この治療から4年が経過しました。あの入れ歯は一度も破損することなく、お口のトラブルも一切起きていません。彼女は今でも定期検診に通ってくださっており、経過は良好そのものです。
2〜3年で5回壊れていた入れ歯が、素材と設計を見直したことで、4年間ノートラブル。この違いこそが、チタン床義歯という選択の答えだと感じています。
入れ歯が何度も壊れてしまう方へ
もし今、あなたが「入れ歯を作っても作ってもすぐ壊れる」「何度修理しても同じところが割れる」という悩みを抱えているなら、それは入れ歯の使い方が悪いのではなく、噛む力に対して素材や設計が合っていない可能性があります。
特に、次のようなケースはチタン床義歯のような選択肢を検討する価値があります。
- 入れ歯を作り直しても短期間でまた壊れてしまう
- 噛む力が強いと歯科医院で指摘されたことがある
- 修理を繰り返しているが、根本的な解決になっていないと感じる
- 見た目よりも「しっかり噛めること」「長持ちすること」を優先したい
もちろん、チタン床義歯がすべての方に適しているわけではありません。自由診療となるため費用面での検討も必要ですし、お口の状態によって最適な設計は変わります。大切なのは、「なぜ壊れてしまうのか」という原因を歯科医師としっかり突き止めたうえで、ご自身の噛み方や生活に合った入れ歯を選ぶことです。
まつうら歯科・こども歯科では、繰り返し壊れる入れ歯にお悩みの方のご相談を承っています。「もう何度も作り直すのは疲れた」という方こそ、一度、噛み合わせの状態から見直してみませんか。
診療内容の詳細は入れ歯治療ページ、ご年齢に応じたケアについてはシニア歯科のページもあわせてご覧ください。
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本記事は当院での実際の治療症例をもとに構成しています。治療内容・費用・期間は患者様のお口の状態により異なります。詳しくは診療時にご相談ください。
入れ歯無料相談のご案内|大阪入れ歯専門外来
「どの入れ歯が自分に合うのかわからない」
「10年、20年ぶりの歯医者で緊張する」
「今の入れ歯が痛い・噛めない・外れる」
そのようなお悩みがある方は、一度状態を確認させてください。
まつうら歯科・こども歯科では、歯科医師30分+歯科技工士30分、計60分の無料相談を行っています。歯科医師と歯科技工士の両方からご説明することで、お口の状態と医学的な視点、そして入れ歯の構造・設計・素材の特徴、両面からより分かりやすくお伝えできます。
無理に治療を進めることはありません。ご相談だけでも大丈夫です。他院で作った入れ歯のご相談も歓迎します。
大阪市住吉区・あびこ駅から徒歩3分。住吉区・東住吉区・阿倍野区・住之江区・堺市・松原市はもちろん、奈良・和歌山・神戸・京都など遠方からもご相談いただいております。
電話:06-6698-6480
またはWEB予約からお申し込みください。
入れ歯の作製・使用にともなう一般的なリスク・副作用
・内容によっては自費(保険適用外)となり、保険診療よりも高額になります。詳細は歯科医師にご確認ください。
・入れ歯を固定するため、患者さまの同意を得てから残存歯を削ったり抜歯したりすることがあります。
・使用直後は、口腔内になじむまで時間がかかることがあります。
・事前に根管治療(神経の処置)や土台(コア)や被せ物(クラウン)の処置が必要となることがあります。
・入れ歯を装着していない時間が長いと、残存歯の傾きや損失、歯槽骨(歯を支える骨)の吸収などが起こることがあります。
・咬合が変化したり、固定源である残存歯が削れたり抜けたりした場合は、入れ歯の調整・修理が必要になることがあります。
・金属を使用する入れ歯では、金属アレルギーを発症することがあります。・使用方法などにより、破損することがあります。
・シリコン義歯は数年に1度シリコンの張り替えが必要になります。
・定期的な検診・メンテナンスが必要です
この記事は、まつうら歯科・こども歯科(大阪市住吉区我孫子)の歯科医師が監修しています。個々の症状や治療の適否については、直接ご来院の上ご相談ください。
本症例は患者様の了解を得て、掲載しております。
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