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歯石には種類がある?歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石を知ろう
「歯石」と聞くと、ただの歯の汚れというイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、実は歯石には大きく分けて2種類あります。それが、
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歯肉縁上歯石(しにくえんじょうしせき)
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歯肉縁下歯石(しにくえんかしせき)
です。
この2つは、できる場所や硬さ、歯周病との関連性などに大きな違いがあり、それぞれに合ったケアが必要です。この記事では、それぞれの特徴や注意点、治療方法についてわかりやすく解説します。
歯肉縁上歯石とは?(見える場所にできる歯石)
歯肉縁上歯石は、歯ぐきの上に見えている部分(歯冠部)にできる歯石です。主に以下のような場所にできやすくなります。
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下の前歯の裏側
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上の奥歯の外側(ほほ側)
これらの場所は唾液腺の出口が近く、唾液中のカルシウムやリンが歯垢(プラーク)と反応して歯石化しやすいのです。
見た目は黄白色や灰白色で、やや柔らかく、歯の表面にこびりついたように見えるのが特徴です。比較的やさしく除去でき、歯科医院ではスケーラーという専用器具でスケーリング(歯石除去)を行います。
🔹 ポイント
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肉眼で見えるため発見しやすい
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口臭や審美面での問題になる
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歯科医院での定期クリーニングが有効
歯肉縁下歯石とは?(歯ぐきの中に潜む危険な歯石)
歯肉縁下歯石は、歯ぐきの中の見えない場所(歯周ポケット内)にできる歯石です。色は黒っぽく、黒褐色や緑がかった色をしていることもあります。
これは、歯周ポケット内で歯垢や歯周病菌が長期間放置され、石灰化して硬くなったものです。非常に硬く、歯にしっかりと付着しているため、通常のクリーニングでは除去が困難です。
🔹 歯肉縁下歯石の怖さ
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肉眼では確認できない
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自覚症状が出にくい
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歯周病を進行させる最大の要因
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骨の吸収(歯槽骨の破壊)につながる
除去には、ルートプレーニングや麻酔を使った深部の処置が必要になることもあります。放置してしまうと、歯ぐきの腫れや出血だけでなく、歯を失う原因にもなりかねません。
なぜ歯石の種類を知ることが大切なのか?
歯石の種類によって、リスクや対応方法が異なるため、それぞれに応じた適切なケアが必要です。
種類 | できる場所 | 色 | 主なリスク |
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歯肉縁上歯石 | 歯ぐきの上(歯の見える部分) | 黄白色〜灰色 | 口臭、見た目の悪化、軽度の炎症 |
歯肉縁下歯石 | 歯ぐきの中(歯周ポケット内) | 黒褐色〜緑色 | 歯周病の進行、歯の動揺、骨の吸収・喪失 |
とくに歯肉縁下歯石は自覚症状が出にくいため、気づいたときには症状が進行してしまっているケースも少なくありません。
自分でできる歯石予防と定期ケアの重要性
残念ながら、一度できてしまった歯石は歯磨きでは除去できません。特に歯肉縁下歯石は、家庭用のケアグッズでは対応不可能です。
予防のためには、
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正しいブラッシングの習慣
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歯間ブラシやフロスの活用
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3ヶ月に一度の定期検診とプロによるクリーニング
が非常に重要です。
まとめ|気づかない歯石こそ早めの対処を
歯石には、「歯肉縁上歯石」と「歯肉縁下歯石」の2種類があり、それぞれに異なるリスクと特徴があります。
特に縁下歯石は、歯周病のリスクが高く、早期発見・早期治療が重要です。
当院では、歯石の状態を丁寧に診断し、患者さま一人ひとりに合わせたケアをご提案しております。
「最近、歯ぐきが腫れている気がする」「歯がザラつく」「口臭が気になる」など、少しでも気になる症状があれば、お気軽にご相談ください。
定期検診とクリーニングが、歯を守る第一歩です。
write:2025.07.19