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歯を抜いた後の注意点について
歯を抜いた後、「もう治療は終わった」と安心する方も多いかもしれません。しかし、実は抜歯後の過ごし方こそが、回復をスムーズに進めるための重要なポイントになります。
特に注意が必要なのが、「ドライソケット」と呼ばれる抜歯後の合併症です。この記事では、抜歯後の注意点、食事、痛みや腫れ、歯磨き、ドライソケットについてわかりやすく解説します。
抜歯後の基本的な注意点
1. ガーゼによる圧迫止血
抜歯直後は、傷口からの出血を止めるために、清潔なガーゼを5~10分間しっかり噛むことで圧迫止血を行います。軽く噛むだけでは圧力が不十分な場合があるため、しっかりと圧をかけて止血してください。
出血が続く場合は、新しい清潔なガーゼを再度噛んで、同じように圧迫止血します。ガーゼを外した後、血の塊(血餅)は無理に取らないようにしましょう。
2. 強いうがいは避ける
抜歯後すぐに強くうがいをすると、せっかくできた血餅が流れてしまい、ドライソケットの原因になります。うがいは抜歯から半日以上経ってから、やさしく1〜2回程度にとどめましょう。
3. 傷口をいじらない
舌や指で傷口を触ると、感染や治癒の遅れの原因になります。また、舌で傷口を吸うような動作も避けましょう。
4. 喫煙・飲酒・運動を控える
喫煙は血流を悪くし、傷の治癒を妨げるほか、ドライソケットのリスクも高まります。抜歯後2〜3日は禁煙を守りましょう。激しい運動や飲酒、長風呂も出血や腫れの原因となるため、当日は控えてください。
抜歯後の食事について
食事のタイミング
抜歯後すぐは麻酔が効いているため、完全に麻酔が切れてから食事をとってください。感覚が鈍くなっており、唇や舌を噛んでしまう恐れがあります。
食べやすい食材
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おかゆ、雑炊
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柔らかく煮たうどん
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ポタージュスープや具の少ない味噌汁
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ヨーグルト、プリン、ゼリー、豆腐、茶碗蒸し
できるだけ抜歯した側と反対側で噛むようにし、食後はやさしく口をゆすいで清潔を保ちましょう。
避けるべき食べ物
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熱すぎる食べ物・飲み物
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硬いもの(せんべい、ナッツなど)
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粘着性のあるもの(ガムやお餅)
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炭酸飲料、辛い料理
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アルコール類
最低でも1~2日は避けるようにしましょう。
抜歯後の痛みや腫れについて
痛みについて
抜歯後はある程度は痛みます。処方された痛み止めでコントロールできる程度であれば心配はいりません。痛み止めの強さの順番は1、ボルタレン 2、ロキソニン 3、カロナールの順です。痛み止めを飲んでも痛みが効かない場合は、どの痛み止めを飲んでいるか確認してください。現在飲んでいる痛み止めがあまり効かない旨を歯科医院で伝えると、違う種類の痛み止めへ変更することもあるかと思います。痛み止めが効かない場合はかかりつけの先生にちゃんと伝えましょう。しかし、日ごとに痛みが強くなったり、痛み止めが効かない場合は、ドライソケットなどの可能性があるため早めに受診してください。
腫れについて
特に親知らずの抜歯では、頬や顎が腫れることがあります。通常は2日目がピークで、その後徐々に引いていきます。
腫れを抑えるためには:
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冷やしたタオルで軽く冷やす(15~20分を目安に)
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熱すぎる飲食、運動、長風呂を避ける
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清潔を保ち、安静にする
腫れや痛みがどんどん強くなる場合は、感染などの可能性もあるため早めの相談をおすすめします。
痛み止めはいつ飲めばよい?
抜歯後、「いつ痛み止めを飲めばいいのか?」という質問はよくあります。以下のポイントを参考にしてください。
基本は「麻酔が切れる前」に服用
抜歯時には局所麻酔を使用しますが、麻酔が切れる前に痛み止めを服用するのが理想的です。麻酔が切れてから痛くなる前に飲んでおくことで、痛みのピークを避けることができます。
例えば、抜歯後に医院で痛み止めを受け取ったら、帰宅後すぐに1回目を服用するのが一般的です。
痛みが少なくても服用してOK?
「そこまで痛くないけど飲んでもいいの?」と迷う方もいますが、抜歯後の炎症を抑えるためにも、医師の指示通りに服用することが大切です。痛み止めには炎症を抑える作用もあるため、予防的な意味でも服用がすすめられる場合があります。
痛み止めの使い方で注意すべき点
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処方された用量・回数を守る(自己判断で量を増やさない)
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お腹が空いているときに飲むと胃が荒れることがあるため、できれば食後に服用
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痛みが続く場合でも、決められた間隔(通常は4〜6時間)を守る
痛み止めを飲んでも効果がない、痛みが日に日に強くなる場合は、ドライソケットなどの異常の可能性もありますので、早めに歯科医院へご相談ください。
抜歯後の歯磨きについて
当日の歯磨き
当日は、患部を避けて他の歯だけを優しくブラッシングしましょう。無理に傷口を触らないことが大切です。
翌日以降の歯磨き
翌日から少しずつ通常の歯磨きに戻しますが、抜歯した部分には直接ブラシを当てず、やさしく周囲を清掃します。うがいも優しく行い、刺激を与えすぎないようにしましょう。
必要に応じて、歯科医師からうがい薬(含嗽剤)が処方される場合もあります。指示に従って使用してください。
ドライソケットとは?
ドライソケットは、血餅がうまく形成されなかったり、剥がれてしまったことで、骨が露出し、強い痛みが出る状態です。
通常の痛みよりもズキズキと深い痛みが特徴で、痛み止めが効きにくく、治癒にも時間がかかります。ドライソケットになると当院では痛み止めは、一番強いボルタレンを処方することが多いです。ドライソケットになると、痛くて仕事に集中できなかったりし、生活に支障が出ます。さまざまな原因により、ドライソケットがおきますが、喫煙、飲酒、強い頻回のうがい、この3点を特に注意する必要があります。
ドライソケットを防ぐために
- 飲酒と喫煙は控える
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傷口を吸わない・触らない
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強いうがいを避ける
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食事・歯磨きは患部に優しく、刺激を与えない
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痛みや腫れが強い場合は早めに受診
まとめ
抜歯は一つの節目ですが、その後の過ごし方が傷の治りを左右します。ガーゼでの止血、正しいタイミングでの痛み止めの服用、食事・歯磨きの注意、そして異変を感じたときは早めの相談。
特に飲酒、喫煙により、治りが遅くなります。ドライソケットの可能性も高まるので、抜歯後はなるべく、飲酒、喫煙は控えるようにしてください。
これらを意識することで、抜歯後のトラブルを防ぎ、スムーズな回復を目指すことができます。
まつうら歯科・こども歯科では、抜歯後のフォローも丁寧に行っております。ご不明な点があれば、お気軽にスタッフまでご相談ください。