
目次
【こどもの前歯が着色が気になる・・・】着色の原因は呼吸と舌の位置にあった
「最近、うちの子の前歯が茶色くなってきたような気がする…」
「ちゃんと歯みがきしてるのに、なんで前歯だけ汚れてるの?」
そんなふうに、お子さまの前歯の着色を心配されて来院される保護者の方は少なくありません。
一見、虫歯のようにも見えるその茶色い汚れ。でも、必ずしも虫歯とは限りません。
じつはその背景には、「呼吸の仕方」や「舌の位置」といった、お口の機能の問題が隠れていることがあります。
今回は、こどもの前歯の着色について、よくある原因とともに、口呼吸・鼻呼吸・低位舌との関係について解説します。
■ 前歯が着色する原因とは?
こどもの前歯に現れる着色には、いくつかの原因が考えられます。
1. 食べ物・飲み物による着色
カレー、チョコレート、ジュースなどの色素が歯の表面に沈着することがあります。鉄分の多いシロップ薬(特に風邪薬や鉄剤)も着色の原因になることがあります。
2. プラーク(歯垢)の蓄積
歯磨きが十分にできていないと、プラークがたまり、そこに色素が付きやすくなります。特に歯と歯ぐきの境目に残りやすく、着色の温床になります。
3. 虫歯の初期段階
虫歯の初期では、白や茶色の変色が見られます。ただし、すぐに削る必要があるとは限らず、経過観察や予防処置で済むこともあります。
これらは、歯科医院でのチェックとクリーニングによって判断・対応できるものです。しかし、それだけではない、見えにくい原因も存在します。
■ 見落としがちな“口呼吸”と“低位舌”
最近、歯科では「呼吸の仕方」や「舌の位置」が、お口の健康に深く関わっていることが注目されています。
実は、前歯の着色とも関係しているのです。
◆ 口呼吸によるお口の乾燥
お子さまがテレビを見ているとき、寝ているときにお口がポカンと開いていることはありませんか?
このような状態は、口呼吸になっているサインです。
口呼吸になると、口の中が乾燥しやすくなり、唾液による「自浄作用」が働きにくくなります。
唾液には、歯の表面の汚れを流したり、細菌の増殖を防いだりする働きがありますが、乾燥してしまうとその力が弱まり、着色や虫歯が起こりやすい状態になってしまいます。
◆ 鼻呼吸との違い
一方で、鼻呼吸ができている子は、口の中が適度に湿った状態に保たれ、唾液も十分に分泌されます。
この状態なら、自然と歯の表面も清潔に保たれやすく、着色も付きにくくなります。
◆ 低位舌(ていいぜつ)による影響
さらに見逃せないのが、「低位舌」という状態です。
これは、舌が本来の位置よりも下がってしまっている状態で、舌が上あごにつかず、いつも下にあるお子さまに多く見られます。
舌が正しく上あごについていると、自然とお口が閉じて鼻呼吸がしやすくなります。
しかし低位舌になると、口が開きやすく、口呼吸になりやすいため、唾液が前歯の表面に届きにくくなるのです。これにより、前歯に汚れや着色がたまりやすくなります。
■ おうちでできるチェックポイント
以下のようなサインがある場合は、一度歯科医院でのチェックをおすすめします。
-
お子さまが口をポカンと開けていることが多い
-
寝ているとき、口が開いている or いびきをかく
-
前歯だけ着色が目立つ
-
舌が常に下の方にある、舌を上あごにつけるのが苦手
-
口臭が気になる
こうした症状は、口の機能(口腔機能発達不全)や呼吸の問題が隠れているサインかもしれません。
■ 着色の除去と根本的な改善をめざして
前歯の着色が気になる場合、まずは歯科医院で着色の除去や虫歯チェックを行いましょう。
そして、それだけで終わらせず、呼吸や舌の機能のチェックも合わせて行うことで、着色しにくい環境を整えることができます。
まつうら歯科・こども歯科では、お子さまのお口の見た目だけでなく、呼吸・舌・かみ合わせなど成長に関わる機能面も大切に診ています。
気になることがあれば、お気軽にご相談ください。
■ まとめ
-
前歯の着色は、単なる汚れだけが原因とは限らない
-
口呼吸や低位舌によって、口の中が乾燥し、着色が起こりやすくなる
-
鼻呼吸と舌の正しい位置が、着色や虫歯予防につながる
-
着色が気になる場合は、機能面も含めたチェックを
お子さんの健やかな口腔環境づくりのために、定期的なチェックとアドバイスを活用しましょう。